菅平高原観光協会

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COLUMN

第12回スカイライントレイル菅平 2日目
登りのあとは笹に囲まれてガンガン下る

July.26.2019

トレラン歴3年になるライターでエディターの伊藤大輔が、前日のバーティカルに続いて、スカイハーフ(22km)に参戦。天候の不安もあるなか、雨に降られず走った山はやはり気持ちよかった! スポーツ合宿の高原地帯である菅平だが、すぐに山へとアクセスできる地形がトレールランニングとの相性もバッチリだったのだ。

文:伊藤大輔

いよいよ本番のスカイライントレイル菅平のレース当日。好運にも雨は降らずに朝を迎えることができた。50kmのスカイマラソンは朝6時スタート、僕の出走するスカイハーフ(22km)は9時スタートだった(5kmのスカイミニというカテゴリーもある)。当日は朝早く起きて風呂に入り、しっかりとストレッチをしてから本番に臨んだ。

まるで墨絵のような早朝の景色。写真:下山展弘

標高の高いところを走るレースだけに、必携装備となるレインウェア、手袋、エマージェンシーシート、水、食料をザックに詰めこんだ。スタート30分前になると、スカイライントレイル菅平の恒例行事でもある女性インストラクターによる準備運動がスタート。エアロビっぽい動きのあるエクササイズで、肌寒さを吹き飛ばすことができた。スタート5分前ともなると、ゲート前は心地良い緊張感に包まれ、朝9時ピッタリに出走。山道に入るまでは沿道に多くの人がつめかけ、選手を応援してくれていた。

塩の効いたキュウリでリバイタル

スタートから少しアスファルトを走ったら、すぐに山道へ。写真:下山展弘

スカイライントレイル菅平のポイントとして、90%以上のコースがトレイルということが挙げられる。実際トレランのレースなのにけっこうロードがあったりする大会もあるので、これはトレイル好きには嬉しい点である。ということで、アスファルトを走ることはほとんどなく、すぐにスキー場へと入り、登りセクションへ。

今回はレポーターとしての役割もあるので、登りはゆっくりと歩く。菅平はベース標高が高いのに加えて、当日は曇天であったので日差しもなく、汗をかかずに快適に登れた。多少の下りもあるが、前半は基本的に登りが多く、あっという間に第一エイドに到着。水、コーラ、スポーツドリンクといった飲み物に加えて、梅干しやキュウリ、バナナ、葡萄、おまんじゅうなどと充実したラインナップ。僕が今回エイドでハマっていたのはキュウリ、運動中に塩をたっぷりとふったキュウリの美味しいこといったら!

さて、補給もそこそこにレースへと戻る。シュナイダーゲレンデを登っていきシュナイダー記念碑へと辿り着く。眺めの良いこの場所では、多くのランナーたちが写真を撮っていた。ちなみにシュナイダー記念碑は、アルペンスキーの父として知られるハンネス・シュナイダーが日本で初めてスキーをした場所であることに由来するそう。その記念碑をグルっと回ったら、菅平牧場に向かって農道を走っていく。この道の先にある第三エイドがハーフスカイの折り返し地点になっているため、早い選手と入れ違えるスポットにもなっていた。走力は違うけれど、一緒に出場している友達のランナーと出会えるポイントにもなっていて、こういう配慮はレース慣れしているランナーにとっては、お互いが元気をもらえる嬉しいポイントだったりもする。

曇り空が暑さを抑えてくれる。写真:下山展弘
急な登りは無理して走らず、ペース配分を考えることは重要。写真:下山展弘
自然の美しさを感じながら走れるのがトレランの醍醐味。写真:下山展弘

第三エイドでふたたびキュウリを食べて折り返していくと、ここからが小根子岳に向けてラストの登りポイント。山頂に向けて登山道を登っていくが、勾配もわりと急でスカイハーフの頑張りところでもある。息を上げすぎないペースで小根子岳のピーク(標高2,127m)へと登頂。さすがにちょっと疲れたのと、登りでカロリーを消費してお腹が空いたので、補給食を食べながらひと休憩。さて、いよいよ下りだ。山頂からの下るコースの眺望が素晴らしくて、思わず見とれてしまった。このスカイハーフ、ここからは延々と下り模様で、眺望の良いポイントを通過すると両サイドの笹に囲まれたトレイルをガンガンと下る。

下りの快感、でも油断は禁物

勾配もそれほどきつくないので、下りの技術がそこまでない僕でもかっ飛ばせて……めっちゃ楽しい。途中は小根子岳へと登った登山道を下る部分もあり、こちらもランナーとの遭遇ポイントになっていた。その後は菅平牧場の別ルートへと下る。とにかく下りっぱなしで、重力に逆らうことなく、どんどんと落ちていく。登りを制するものがレースを制するなんて言葉もあるけど、やっぱりトレイルの下りは単純に快楽的な楽しさがある。そんな楽しさを享受しながらも走っていく途中で、“そうは言ってもこのまま下りで終わるわけないよな”という思いがアタマをよぎる。なぜなら、これまでに全国さまざまなトレイルレースに出たことがある経験則にもとづいても、下って終わるというレースはほぼゼロで、むしろ下りで調子に乗って飛ばしすぎて、ラストの登りで悶絶したという経験のが多いからである。ということで、同じくらいのペースで下っていらっしゃった経験豊かそうな年配ランナーの方に“あのー、やっぱりこのあとって、登ったりしますよね?”と聞いてみると、“あるよ、最後にガーンってさ。あそこを走って登れたらたいしたもんだよ”という、有り難いアドバイスをいただく。

ということでちょいとペースダウンしつつ、第一エイドまで戻ってきたところで、コーラを飲んでカフェインをブースト。といっても最後に走って根性を見せたる!わけでもなく、ゆっくりと歩いてラストの登りをやり過ごす。その後は温存した脚で一気に下ってゴール! ゲートをくぐると地元の子供たちがスポーツドリンクを持って“お疲れさまでした~!”と駆け寄ってきて、計測チップも回収してくれた。子供たちから元気をもらって、完走証をもらってレースは無事修了。レーススタート時の予想では午後から雨の予報だったが、幸いにも予報が外れてゴールしたときの天気は快晴、高原の清々しい風を身体いっぱいに浴びながら、レース後も会場でのんびりとアイスを食べて、50km、22kmの表彰式でトップ選手に拍手を送ってから、帰路へと向かった。

菅平は冷涼な気候で初心者にもオススメ

レースを走り終えてみての所感だが、スカイハーフに関してはそこまでハードなアップダウンがなく快適なコースレイアウトという印象があった。10km程度のレースは出たことあるけど、もうちょっと距離のあるレースに出てみたいというエントリー層のトレイルランナーにも自信を持ってオススメしたい内容だ。それに加えて本州でももっとも寒い地域と言われる菅平高原の冷涼な気候は、走っていてもあまり汗をかかず、快適だったことも追記しておきたい。

個人的には、今回はレポートという仕事もあったおかげで、これまでにはないレースの楽しみ方ができた。なぜならこれまでの僕は仕事でもない限り、レースに出たら必死に頑張って走ってしまうタイプだった。でも、今回はレポートのために写真を撮る必要もあったし、それならばあせらずにゆっくりと走ってみようと出走前から決めていた。そうしたら、いつもよりもいろんな場所で脚が止まるような素晴らしい景色に出会ったり、エイドやいろんなポイントで、選手やスタッフの方としゃべったりもできて、いろんな思い出を作ることができた。自分を追い込んでレースで良い結果を出す充実感もいいが、ゆっくり走ってレースというお祭りを堪能するのは、まったく別の魅力があるんだなという、“お前は今更そんなことに気がついたのか”という声も聞こえてきそうだが、僕にとってはそれが新鮮な体験だった。何せゆっくり走るとそんなに疲れないから、帰りの道中が楽だったというのに加えて、翌日の筋肉痛に悩まされなかったのも大きな収穫だった(笑)。そして何よりも雨予報だったのにも関わらず、レースの最初から最後まで雨が降らなかったおかげで、参加ランナーたちが存分に菅平の自然を満喫できたというのが、第12回スカイライン・トレイル菅平のハイライトだったと言えるだろう。

伊藤大輔
ライター/エディター。本職は音楽やカルチャー分野だが、デスクワークの運動不足を危惧してランをはじめる。トレイルランニング歴は3年。出場経験のあるレースは、八ヶ岳スリーピークス、志賀高原マウンテントレイル、大雪ウルトラトレイルなど。

スカイライントレイル菅平
https://sugadaira-trail.jp

菅平では季節ごとの色の移ろいを感じながら、トレイルランニングを楽しめる。写真:下山展弘

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