菅平高原観光協会

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INTERVIEW

私の菅平 vol. 2
ゴールドウインスキークラブ サービスマン
伊東裕樹

March.24.2020

サービスマンとしてアルペンスキー日本代表の強化に貢献

スキー板にチューンナップを施し、ワックスがけなど日々のケアを行うことでスキー選手をサポートするサービスマン。平昌五輪まで8大会のオリンピックで、伊東裕樹さんはサービスマンとしてアルペンスキー日本代表に帯同した。現在はFISCHERブランドなどを国内展開するゴールドウインに所属し、ゴールドウインスキークラブの石井智也選手らをサポートする。全日本スキー連盟の強化部門でトップを務める皆川賢太郎さん、佐々木明さんといった元代表選手のサービスマンも務めてきた伊東さんにとっての菅平とは?

写真・文/中島良平
取材協力/ゴールドウインスキークラブ全日本スキー連盟プチ・ホテル ゾンタック

トレーニング環境の必要性を実感

菅平パインビークスキー場でのワールドカップ事前合宿に、出場選手の石井智也選手とともに参加。
合宿の拠点となり、各国代表のサービスマンがスキー板の調整を行うメンテナンス室も設置されたプチ・ホテル ゾンタックでインタビューを行った。

北海道に生まれ、幼くしてスキーを始めた伊東さんは大学までスキー選手を志していた。どうすれば早く滑れるか。レースに勝つためには何をすべきか。まだインターネットもなく情報も少ないなか、本や人から聞いた話など限られた情報を元に暗中模索した。そんなとき、道具についてより詳しく知ることでレースに貢献するサービスマンとして声がかかった。当時スキー板を製造していたヤマハに入社し、マテリアルがどのように作られているのか1から学んだ。

「ヤマハに入社してから海外に行かせてもらえる機会もあったのですが、選手について海外でレースを回るうちに、自分が思い描いていたトレーニング、合宿とはまったくかけ離れたことを海外のチームがやっていることがわかりました。マテリアルも遅れていたし、練習環境やコーチングに関しても比べ物にならなかった。トレーニング環境が絶対に必要だということを当時知りましたね」

スキー板の滑走面を削り、きちんとワックスが塗られるよう念入りに調整を行う。

そして初めて菅平に足を運んだのが、皆川賢太郎さんのサービスマンを務めていた2000年前後の話だ。トレーニング環境が強化に最適だったという。

「菅平には早くから人工降雪機がありましたし、冬になるとマイナス20度になる上に晴天率が高いので、非常にバーンが硬い。雪が降らないのでスケジュールも立てやすいですし、関東圏からのアクセスもとてもいい。そして何よりもスキー場が競技に対して理解を示してくれることが大きいと感じました。皆川賢太郎と来たのが最初なんですが、佐々木明の実力が伸びてきた時にもここに来て練習させてもらって、二人とも結果を出しました。日本代表の強化拠点にここが選ばれたのは、当然の流れだったかもしれません」

伊東さんが選手強化のために重要だと考えているのは、長い距離を滑らせること。硬いバーンでいつでも滑れる菅平は、天候条件に左右されることの多いスキーというアウトドアスポーツの強化環境として最適だと実感している。

自らを律することで成績を伸ばす

「ヨーロッパの選手がいつもトレーニングしているような硬いバーンで滑れるのは大きいです。ここにきたら、いい条件でベーシックなトレーニングを徹底すべきだと思っています。その必要性をきちんと理解した選手は、反復を通して必ず基礎能力を伸ばします。そして若い選手たちが地元に帰ったら、菅平の強化合宿でどういうトレーニングをしたのか地元のコーチに話してもらえればボトムアップにつながります。その拠点が菅平だと思っています」

各国代表のサービスマンがメンテナンス用スペースを設け、サービスマン同士の情報交換も行われた。

全日本スキー連盟の強化部門を担うコーチが各地のコーチに伝えるのではなく、子どもたちを通じて広まることに大きな意味がある。子どもたちが理解を深め、自主的に何をすべきか考えるようになった上で、地元のコーチとも強化のために必要なことが何なのかを共有する。それが広がることで日本のスキー選手全般の実力が上がり、拠点としての菅平が機能してくる。

「これまで色々な選手と出会ってきて、私が勝つために必要なことは『自律』だと考えています。どれだけ若くても、高校生だろうが小学生だろうが、勝てる選手たちは考え方が自律している。自分が描く考え方があって、自らを律することで成績を伸ばしていく。コーチはそこに迷いがあった時にアドバイスをして、方向性を決めるサポートをしてあげるのが本来の役割かのかもしれません」

日本代表の強化の拠点となった菅平が今後どのように機能していくのか。全日本スキー連盟のメンバーたちから圧倒的な信頼を受ける伊東裕樹さんからのアドバイスが、これからの方向づけにも影響を与えるに違いない。

選手が滑る前に怪我防止などを目的に地ならしを行うのもサービスマンの仕事。
石井智也選手の滑りを確認し、滑走後にはその内容についてアドバイスを送る。

伊東裕樹
ゴールドウインスキークラブ サービスマン
1967年、北海道出身。日本体育大学を卒業後、サービスマンとしてヤマハに入社。1997年にヤマハがスキー競技から撤退すると同社を退社し、スキー・スノーボードのチューンナップショップ「T.C.S.」を設立すると同時に日本代表チームのサービスマンとなる。皆川賢太郎、佐々木明などのサービスマンを務め、現在はゴールドウインスキークラブのサービスマンとして石井智也選手などのスキー板のチューンナップやマネジメントを行う。

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